ころがるいしにっき

メモ帳の中身

ヘルタースケルター、漫画版と映画版の差


※好き勝手言ってるので映画版が好きな方は閲覧しないでください

2012年に実写映画化したのでそこから本作を知った人も多いと思う。
私はそれより前に原作を見ていたし、監督の美的センスは好きだったためそれなりに楽しみにしていた。
しかし、いざ映画館へ見にいくと原作との格差ばかり感じてしまって、若干の落胆さえ覚えた。
それはひとえに、原作の捉え方が監督と大きく異なっていたためだろう。価値観のずれがシーンカットをさせ、セリフの省略を生み、原作ではテンポ優先で省かれたシーンのむやみな追加を招く。
話中で明らかになる部分を含めてストーリーを粗めに振り返り、具体的にどこが引っかかったのか書いていきたい。


貧乏な田舎暮らしだった「りりこ(本名は違うがこの呼び方で統一する)」は都会に出て騙され、水商売を始める。
りりこは生来太っていて、目鼻立ちも整っているとはいえなかったが、出先でモデル事務所の社長にスカウトされた。
異常かつ過剰な美容整形を行い、りりこを「かつてモデルとして在った美しかった自分」に作り変える計画のためだった。
生まれ持った姿に不満を抱えていたりりこはそれに応じ、全身作り物である事実を伏せてモデルとして活動する。

整形という前提設定を見た一部の方は「現代の芸能人はどれほど美容整形をしていても周りから揶揄されるくらいで、問題視なんてされない」と思うかもしれない。しかしこの話は、美容整形を悪だと断じる安易なものではない。
「美容整形という嘘をついて有限の美しい姿を手に入れた」のが大事なのだ。

シンデレラが魔法使いにプリンセスになる魔法をかけてもらうのと構図は似ている。
りりこにかけられた整形という魔法は、話中では精神と肉体を著しく崩すものであり、アフターケアも一切ない破滅を作る代物だった。
周りから構われ、愛されるようになり高慢かつ身勝手な振る舞いをするようになったりりこだが、自分の未来の暗さを悟っており
ノローグで示される胸中は常に寂しく殺伐としている。
「私はいつか壊れる。からっぽだ。誰に会おうが何をしようが暇つぶしの域を出ない。早く安定を掴まなくては。ちくしょう。それが叶わないのなら、みんな巻き込んで死んでやる」
ーーモデルとして幾ら雑誌の表紙をかざり、TVに出演し、取材を受けても
自分という存在は一過性のブームにすぎず、いつか大衆に飽きられる。忘れられて記憶にも残らない。整形という嘘がばれるのも恐ろしい。
軽率で浅はかな発言の裏で、そういった心境が事細かに描写されていたのだが、映画では一切モノローグが存在しなかった。
「頭で考えていることと口に出す言葉が一致していない人物」を描くにあたって、これは致命的な誤解を招く。

焦燥感と虚しさ、そして過剰整形の後遺症も手伝って周囲の人間に当たり散らし、人気を落とし始めた矢先に「天然の美女」が事務所に引き抜かれてきた時も
原作でりりこは「(自分は無理をしなければ美貌を保てないのに)産まれながら欠点のない美人が妬ましい」と丁寧に評しているのだが、心理描写が省かれ行動だけをなぞると
ただ「新しく入ってきた新人に仕事を横取りされて激怒している」だけになってしまう。
この描写の差はストーリーが進み、りりこが整形を受けたクリニックの違法性を調査する刑事・麻田が表舞台に出始めた頃に最もひどくなる。
麻田は婉曲的な言い回し、詩的な表現を好み、りりこをタイガーリリーとあだ名で呼ぶ。
タイガーリリーの意味するところは様々だが「ピーターパンの登場人物」というよりは「小さくもしたたかな虎」というニュアンスが強い気がする。
彼のモノローグはほぼ無いが、原作では「美」についての独自の価値観を頻繁に語っており
本音を柔らかいオブラートで包んで視線の先の相手を測っていることもうかがえる。
りりこの整形と精神性を見抜き、りりこの内面が上辺とは真逆だと言外に指摘したのは麻田だけだ。
麻田がりりこに接触を図ったのは、彼女の存在がクリニックの闇を暴くことになるという確証があったからだが、崩れゆく中でも己を保とうとするりりこの芯の強さ、精神性に惹かれていたような場面も見られる。
りりこもまた、人造の美しさ以外の部分を見ようとする麻田の存在が目に焼きつき心の端に残った。
最終幕、整形の事実が知れ渡り滅びを前にしたりりこは何度も幻覚を見る。無秩序でとりとめのない映像や言葉が連なるなか、麻田は「理性あるもの」として印象的に現れる。
幻覚であるからか彼の言葉もまた意図が掴みにくいものになっていたが、りりこはその意味するところを理解して死から踏みとどまる。
見世物の出番を待つ人々の目から逃れ、似通った扱いを受けながらも生存を選ぶ。

だが、映画ではりりこの幻覚シーンは全てカットされている。

薬物摂取の副作用としか呼べない不安を煽る絵面を描写しかねたのかもしれないが「りりこが精神を病み、出演した番組で錯乱して失神する」だけの原作にないシーンは付け加えられているので実際の理由は察しきれない。
麻田が何のために出てきたのか、りりこに何をもたらしたのか一切分からなくなってしまうこのシーンカットが
映画に不満を持った一番の理由だと思う。
ノローグを逐一役者に喋らせろ、と言いたいのではない。おとなしく原作をなぞれと言いたいのでもない。
登場人物の行動や発言の理由を、見た側が察せられるような良いものが見たかった。それにつきる。

メイドインアビス・成れ果て考察

繊細に描かれた人工・自然物がおりなす迫力ある背景、頰が柔らかそうなかわいらしい絵柄から放たれる
優しさとリアリティをふまえたちょっとエグい系ファンタジーのこの作品をKindleでまとめ買いしたのは、ほんの二カ月ほど前の話。
去年アニメ化しているが、そちらは未視聴だ。絵なら耐えられるが動画でのグロ+悲痛な絶叫は大の苦手で、たとえ好きな話でも神経がすり減る。
興味はあっても乗り越えられないというやつで、要するに私はアニメのことは触れず原作の更新を待ち、誰かの考察を読んで推理したい派のファンだ。
アニメで明かされた設定には詳しくないものの、ナナチをはじめとする成れ果てや
6巻途中から訪れる「成れ果て村(イルぶる)」と住民たちのことが気になって仕方なく、だいぶ勝手な考察が溜まってきたのでまとめておく。
48話までのものなので、最新話更新によってあっけなく否定される可能性が高い。



・メイニャの正体
黎明卿がプルシュカと引き合わせた丸っこい謎の生き物メイナストイリム
幼いプルシュカがメイナと言えずメイニャと呼称され、リコたちもそれに倣っている
黎明卿は『変化の子』と呼んでいたことと、ナナチより前に被検体として選出されて帰ってこなかった少女イリムの存在を考えるとメイニャも成れ果てと予想される
メイニャのシルエット自体は平たいリスのような生き物ネリタンタンと似ている
「人間以外では上手くいかなかった」と黎明卿がこぼしていたので
イリム+ネリタンタンで実験した結果二者が癒着して成れ果ててしまった?のかもしれない
不在のプルシュカを探すなど理性や認識力はそれなりにあるようだが、人間の体液(と薬品の混ぜ物)を舐めてゲップをしたり
リコとまああさんの食べ物を横からつまみ食いしていたり動物然とした動きをするので
イリム2/ネリタンタン8くらいの割合?

・マジカジャへの疑惑
成れ果て村で真っ先に声を掛けてきた機械仕掛けの体を操る「気体」の成れ果て
共用語を使えるためリコたちと交流を持ち、村のルールなどを一通り教え
ベラフとの危険な取引を土壇場で止め
オオガスミ強襲の際にはリコの脚として働いたため
成れ果て村の中でもかなり株が上がっているが、出番に反して彼自身の情報は少なく謎が多い
気体となっており匂いを気にすることから「匂い」にまつわる価値を求め
割り振られた仕事は「案内」だと予想しているが
リコにイルぶるでの貨幣価値を説明したとき、マジカジャは最も価値の高い貨幣を見せている
単に物価説明をしたかったにしては不穏な絵面だったので彼はお金持ち?なのかもしれない
客を市場などに連れて行くのは、たしかに価値を増やすことにつながるが
仲介役を担っただけでも価値が発生するのか?
もしそうならマジカジャ以外にも案内をしたい者が出るはずだが二番手などは居ない
価値を得るためのなんらかの裏口が存在する?

・まああさんの正体と清算システム
毛のない丸い頭とつぶらな目と汚い尻の成れ果て
イルぶるの清算システム解説のために出てきたキャラかと思いきや協力的でそこはかとない良心を漂わせる
「まああ」としか喋れないため他の成れ果てとどこまで会話が通じているかは不明
リコに置いていかれる、と感じた?とき自分の口元あたりを引っ張って泣いていたので
喋れないのをもどかしく感じていそうではある
ぬいぐるみが価値の、まだ分別がつかない子供の成れ果てかもしれない
メイニャを傷つけた罪で清算され、集めていたぬいぐるみと皮膚、腕を失ったはずだが
再会時、身体が(多少色が違うものの)おおよそ再生していたのは
イルぶるに魂を捧げて得た成れ果ての肉体ゆえなのだろうか
魂はイルぶるにとらわれてアビスに還らず、肉体はイルぶるによってできたものなので滅びない
ただしそれはイルぶる内だけの話
イルぶるを出られない以上、本物の不死とは呼べないとか
「呼び込み」で嬉しそうにしてたのは祭りへの参加というパリピめいた理由ではなくリコとメイニャを庇うことに成功したためだと信じている

・ベラフと724本の手足と人ベラフの謎
他の成れ果てとは一線を画す巨大な細長い大百足の体
タテガミのついた人間の顔っぽい部分の、本来目がある箇所にはキバのついた口がふたつだけ存在する成れ果て
リコをみた第一声「バヌふぁも…ほんデ…」は
ヴエコの「クグふぁもホンでいっそす(こどもはかわいいですね)」と響きが類似しているので、ヒトの子を褒めていたのか
しかし「ファモ」は「またね」に該当するので
ひらがなとカタカナの「ほんで」は意味が異なるかもしれない
ほかの成れ果ての身体が単色〜二色なのに対し
ベラフは顔部分以外ピンク、緑、青、黄色と異常に色が多い
加えて、ミーティの複製を作るにあたってイルぶるに供した「724本の手足」の出所を考えると
ベラフは181人分の成れ果ての集合体ゆえに誰よりも巨体になり、人数分の手足を所持していたのでは?と推測する
吸収された180人はガンジャ隊であり、のこりはワズキャンとくっついた?(彼の手、指?も一人分にしては多すぎる)
ヒトであった頃の凛としたベラフと性格があまりにも違うのは人格も混ざったからか
しかしなぜ混ざったか、混ぜる必要があったかというツッコミには答えられないので全てはただの予想

蝋燭姫の話

https://www.mangaz.com/book/detail/64871

鈴木健也という作家を知ったのは、数年前、本屋でこの本をタイトル買いしたのが最初だ。
「ギャル子ちゃん」がアニメ化したこともあり、巷ではそちらの印象の方が強いと思う。
現代の女子高生をメインにしたあちらのほうは、どことなく一般向けを意識した手に取りやすいつくりになっていて、それはそれで好きだ。
蝋燭姫はギャル子ちゃんよりかなり前の作品だがキャラクター個々の目力と心理を映す表情、微細に描き込まれた背景といった部分は共通しているので
軽度のグロ、スカ、差別表現に耐性があるなら読んでほしい。
以降はネタバレを含む好きなポイントの羅列。


国を追われ女子修道院に流されたスクワ姫と、姫を再び地位ある身分に戻そうと願う侍女(実質的には騎士)フルゥ。
一巻の大半は、清貧を尊ぶ朗らかな修道院のシスターたちとの交流に費やされる。
何人かの仲良しグループと過ごすようになるのだが名前が判明するキャラは少なく、
規律にきびしいと周りからも知られており、実際言うことはシスターとして正しい内容ばかりなわりに
立ち振る舞いや容貌に異色な艶やかさのあるヤージェンカと
修道院で禁じられている(と思われる)干し肉を欲して髪を売り、酒に酔うたび重厚な賛美歌を歌う
とろいが温和なマロノーが特に目立つ。
一巻の終盤から二巻のラストシーンまで、駆け足でふろしきをたたんでいくので目が忙しくなるが
フルゥやスクワの意思を尊重する味方はこのシスターたちのみであり、出てくるオッさんや野郎は他者を利用したい腹黒い野心家揃いなので一周回ってシンプルだ。
描写するなら逃げず、ごまかさず徹底的にという信念を強く感じるほど
中世時代の男尊女卑のエグ味の一端を擬似的に見せられる。
常にほんのかすかな救いはあるが、辛い目にあう描写の方がやはり多い。

「美しいものを見たことはあるか」
これは物語の中で何度か印象的に問われている。
精神的な美しさと物理的な美しさが混同され、話中で勘違いを生んでいく。

主人公フルゥは、侍女任命された当日に多数の侍女に囲まれ美しく装うスクワを目の当たりにして
自らとの立場の違いと「姫」が尊ばれるべきものだと強く認識し、姫であるスクワを人一倍敬うようになる。
前王が逝去しスクワ姫が処刑されかかった際、フルゥは涙ながらに助命を請い修道院へも同行した。それはおそらく、最も美しいと感じた存在の価値を守るためだ。
しかし貧しい生活と、王の血を求める者たちによる強奪を経て
スクワの「無口で従順、貞淑な姫」というメッキは剥げていく。
年齢相応の幼さのにじむ考えを吐き出し、無邪気に眠るスクワにフルゥは静かに語る。
自分がかつて、老いて醜くなった狼を思い出が汚れる前に弑したことを。

個人的に最も記憶に残ったのは、前述したヤージェンカの正体とその行動だ。
清貧を選べと言い、フルゥの褐色の肌や野卑な育ちを揶揄する場面ばかりの彼女だが
修道院が窮地に陥るとフルゥに協力し、スクワの身代わりを自ら買って出る。
スクワを別の修道院に預けたあとは影武者役の女性と芝居を打ち、その後も囚われながらひたすらに時間を稼いだ。
実は真っ当なシスターではなく、スクワの様子を伺う役の間者であったと思われる彼女が依頼主でもないフルゥを手助けした理由は「美しいものを見た」からだという。
宝石などの報酬を貰ったかと尋ねられると、ヤージェンカは相手の言い草に失笑する。
「ひとのはなしきけよ……美しいってのは そういうことじゃないだろ?
一途で 誰かのために必死で ひたむきで まっすぐな……」
命がけでかばったものから思い返されないと承知で演じきった強さに、強い衝撃を受けた。
同時に、この感情の機微を単純な言葉で表してはいけないとも思った。

光の戦士、うんちを拾う

2ジョブのみ70(内1つは釣り)、最近はログイン自体少なくなってきたが、FF14を1年以上地味にプレイ中だ。
人によってオンラインゲームを遊ぶ理由は様々だが、私の場合は
自分の理想のキャラを主人公として動かし、自由度高くふるまえることが好きでやっている。
普通のロールプレイングゲームなら、敵を倒し世界を救えばそれで終わりだ。しかしオンラインゲームは終わらない。敵を倒した後、英雄となっても話は続く。
主軸のストーリーで人間同士のいさかいや戦争の行く末を追うだけでも面白いのだが、私が特に好きなのは
西に腹すく人あれば、というたとえのように町の困っている人を助ける細かなサブクエストだ。

とあるアイテムがほしい、◯◯にいるモンスターを倒してきてほしい、などのおつかいを経て
少しの経験値とおだちん(食べものやアイテムが貰えることも多々ある)を貰う。他のゲームでもよくある流れだが、FF14はその流れ作業になりがちなクエストに毎回意味を持たせている。

めちゃくちゃ端的に1つ例を出すと、光の戦士という愛称で親しまれる英雄である主人公が、町人に頼まれてうんちを拾いに行くクエストがある。
うんちである。
山羊のブツを拾う。牛のブツを拾う。果ては、人語を解す人外の蛮族のブツをも回収する。
そしてそれは、嫌がらせとか罰ゲームとかではない。

草食動物のフンを燃料として使い、火を起こして食事をする。
堆肥、肥料に加工し野菜を育てて生計を立てる。
現実的な生活サイクルが存在し、主人公はその流れの一環を手伝っているにすぎないのだ。その辺りの描写が実に細かい。私のような、リアリティのあるファンタジー好きはついつい町中を回って粗品でカバンをパンパンにする。汚れた手はちゃんと洗う。
特に蛮族が依頼してくるクエストなどは、彼らが糧を得るために人間と取り引きを始め、ああだこうだと知恵をこらしながら名産品などを生み出し発展していくのを助ける内容であり
周辺地域に住まう人々との折り合いや和解、協力体制の構築などが見れるためお気に入りだ。

ファンタジー設定への素朴な疑問に対して理にかなった説明が返ってくるのは、地味ながら本当に楽しい。
私が釣り、という趣味職を現状のカンストまで上げたのも、釣り糸を垂らすと
人々が日々口にしている魚や貝がごく普通にかかり、しっかりとしたテキストが読めるからだ。

地に足がついていると感じられる世界観に触れて浸ると、独特の陶酔感がある。
長い異世界小説を没頭して読み耽るに近いあの感覚が味わえるから、パーティでの戦闘が苦手なわりに長々とやっているのだろう。
各個人で楽しみ方が違うのもまた、魅力のひとつだ。

スレイヤーズのナーガを推す話 ※ネタバレ

ラノベは女性の胸や尻を過剰に強調した表紙が多くなってないか?という意見がTwitterなどでドンブラコと流れてきていたので
巨乳+過露出というワードから歴代推しの一人である白蛇のナーガのことを思い出した
いつものようにキャラ設定の振り返りと、推したいと思ったシーンを書き散らかす
記憶違いと思い込みも多分にあるし、少し昔の作品なのでネタバレも既に周知の事実となっているかもしれないが一応伏せた方がいいと思うので伏せる



原作・アニメともに番外編のみ登場し、本編には全く出てこないためメインキャラに比べて出番は少ない
トゲ付き肩パッドとマントでギリギリスレイヤーズ界の魔導師シルエットを保っているが
そんなことよりエグい切り込みの黒ビキニの方が強烈に印象に残る
ハイファンタジーの世界観の中でも、ナーガのこれは普段着とするには「おかしい」らしく
最初は道行く男性が胸や尻に注目したり
ナーガを見ておっぱいに心惹かれた子供が「見ちゃいけません」と手で目を覆われていたりした
彼女が完全なギャグキャラとして定着すると、そのような鼻の下を伸ばす描写が少なくなり「面白い痴女」としていい意味でスルーされるようになる
エロい目で見てくる者は秒で倒されていて、奇異の目しか見ることがないのかもしれない
リナと共にさまざまな思惑を胸に悪党を成敗したり、金目のものを手に入れんとしたり
ストーリーとキャラの個性が強いので読者、視聴者も次第に服装を気にしなくなってくる
ナーガはこういうものだから、という境地に近い

そうして露出度の高いギャグキャラ認定を下した頃にポツポツ彼女の素性の謎が浮かんでくる
高度な魔法を多数(未完成でもぶっぱなすことがあるが)習得していることにはじまり
やけに貴族など上流階級の事情や政界、財界についても詳しい
そして言動は破天荒ながら物腰そのものは柔らかく、言い回しにどこかしら品がある
世界情勢への知識と多彩な魔法はストーリーを進めるうえで必須だから備えているだけだろうとメタい見方もできるが、そうすると今度は「兼ね備えていてもおかしくないと思わせるだけの設定」が必要になる

回りくどくなりそうなのでネタバレすると、ナーガは本編中に「失踪して行方不明」と話題にのぼるセイルーン王家の長女 つまり歴とした王女
アメリアの姉といった方がわかりやすいと思われる
「ナーガ」は本名の一部でいわゆるミドルネーム、全くの偽名ではない
あの目立つトゲ付き肩パッドや露出度の高い扮装は、実は亡くなった実母の趣味にして形見の品であり
暗殺された母の仇をとるべく修行の旅に出たという重い裏事情がある
のちに仇はとったようだ(しかしおそらく帰ってはいない)
彼女の父と妹が放つ平和主義者パンチ&キック、後先考えない謎の勢いを鑑みると血の繋がりがあるのもさもありなん

セクシー路線かと思いきやギャグ寄り
笑わす一辺倒ではなく抱えているものはシリアス
支離滅裂でもある程度は品行方正
と数多のギャップにやられた末に見たある話で完全に落ちた

主人公リナをデーモンだのドラゴンだのと混ぜて最強のキメラを作ろうと目論むマッドサイエンティスト
リナを捕獲するために、なぜかナーガの髪などから彼女のコピーを作り出してしまう しかも一気に10体
コピーは知能をとりわけ低くして作られたため高笑い程度しかできず、体力と食欲は本物同様にあれど魔法のひとつも使えない
10人のナーガに囲まれてひたすら笑われたリナは気味の悪さに気絶したため一応、捕獲作戦自体はうまくいったのだが
悪人は役に立たないコピーたちを持て余し、リナ救出に向かったナーガ本人にぶつけて時間稼ぎをしようとする

自分と同じ顔、服装の者が一度に10人も出てきたら普通は気味が悪いと切り捨てるか、少なくとも否定はすると思う
しかしナーガは高笑いするコピーたちを指差して宣言する
「あなたたちの笑いはしょせん上部だけの代物よ。史上の優越感と自分自身に対する絶対性の確信。それがあって初めて成り立つものよ。まだまだ青いわね」
こういったセリフの直後、本家本元の高笑いを見せつける
コピーたちを複製品と見抜いたのか、熱烈なファンだと勘違いしたのかは定かではないが
どちらにしても態度は変えなかったと思われる
他人が勝手に作り出したコピーを拒絶せず存在を許容し、さらには改善点を示した「本物」にコピーたちは懐き
アジトまで11人で乗り込むこととなる
同じポーズで笑いながら土煙を上げて走っていく絵面は完全にギャグだし
救出後、コピーたちは適当に売り飛ばされかけたりみかん箱に詰められたりとロクな扱いを受けないのだが
ナーガのあのスタンスとセリフの意味するところだけは妙に頭に残り続けている
カリスマ性ってああいうのかなあ、という思いとともに

王様ランキングの話

口コミで爆発的に知名度が上がった作品で、私もネット上での評判を聞いて見に行ったクチだ。ミーハーで良かった。
どこか素朴でキャラの見分けがつきやすい絵柄、奇をてらわない分かりやすい名前、視線誘導力に優れた流れるようなコマ割りにカメラワークなど
細かく言えばキリがないほど、さまざまな部分で見やすく親切に作られていて
「漫画の面白さを再認識」という、ごくありきたりな表現を使ってしまうほどハマった。
技巧のうまさに関しては専門家がいると思うので省略し、我ながらなぜこんなにハマったのか書いて自分なりの答えを見つけようと思う。とても散文。



登場人物が全員リアルな「人間」として描かれているのが特に好き。
キャラの性格がそのまま振る舞いとして現れ、一人の中にある美点と欠点が時間差で判明し
初登場でいけ好かない……と思った人物の評価が次話でひっくり返ることがままある。というか、メインキャラやその周辺にいるサブキャラでそれが起きなかった人物の方が少ない。
この作品はキャラの思考を書いた文字、要するにモノローグが一切なく
行動や発言から思考を察するしかないのだが、それで十分すぎるほど分かる。
絵面と表情と仕草でキャラの気持ち、という形なきものがストレートに頭に入ってくるのは漫画の強みだ。
文字がないぶん空間が広がり、背景が見やすくなる。キャラの表情や動きに注目する。
耳が聴こえない主人公ボッジと話すために誰かが手話を使っていたり、逆に身振り手振りで分かるからと大雑把にとらえたりしている。これはコマ上の文字、セリフをただ漫然と追っているだけでは掴めない。頭を使うと楽しめる漫画はよいものだ。
彼や彼女が「なぜその行動を取るのか」を「過去の回想」で簡潔に振り返る重要なシーンにもモノローグはない。無いが、おおむね正解が書いてある。
頻繁に回想を挟んでもダレず、むしろ気になるからもっと見せてほしいと思ってしまう。
登場人物のおじさん率の高さゆえにヒロイン役を一手に担うヒリングが、登場すればするほど読者(私)をマザコンの道へ落としていくのも、この描写の上手さが起因だろう。
息子を乗っ取って生き返った夫に「貴方は死んだのです。恥ずかしくないのですか」と毅然と叫んだとき
同じ状況下で真逆のイベントが起きた某屍のことを思い出して骨が軋んだ。数年経つがトラウマは根深い。

また、メインキャラのカゲの立ち振る舞いも好きだ。
呪いにより真っ平らで黒いモンスターじみた姿になった暗殺一族の生き残りであるが、暗殺術を覚える前に母と生き別れになり
名もなき盗っ人のおじさんに拾われ、平たい身体を生かした盗みと家事を習得。強い力を行使することに憧れはあるものの後方支援に務め、確かな結果を残している。目と口、手しかないのにかわいい。すごい。
ボッジやライバルのダイダの伸びしろもさることながら、彼(男同士の約束とか言ってたから男だと思うが分からない)の今後にも注目している。まあ、動向に目を配ってないキャラはいないのだが。

ザンキゼロ の話・EXTV編 ※ネタバレ

ゲームプレイ中に最も気になり、無造作に置かれているテレビを見つけるたびにドキドキし、クリア後も再視聴したくなる不思議な魅力のあるエクステンドTV(個人的意見)

具体的にどこが好きか説明すればするほど例のあの人について話さざるをえなくなりネタバレに繋がるので、見る人がクリア済みであることを想定して漠然と書く

 

 

 

 

ミライとショウくんのセリフ、モーション入力したのがマモル先生だという点と攻略ビデオの部分は流用できそうな素材もなく完全な自作なのに

本人からも太鼓判押されるくらい場面や心理描写が合っているところを見ると、先生の観察眼と推測と思考がなんとなく伺えてくる

 

ミライが建前、フォロー、ガイド役でショウくんが本音、茶化し、思いついたギャグ担当っぽい
ビデオ内容がガチでかわいそうだなと感じたときは「どうする?オチで首切っとく?」とか言って、あまり触れようとしなかったり
かと思えば「本人にも責任あると思うんだよね」と辛辣なコメント寄せたり
普通なら気遣って言いはしない頭に浮かんだことが垂れ流しというか、のちに製作者がバレるのは分かっていただろうに素が出ている

ミライ=建前、綺麗事をショウくん=本音が定期的にギロチンで殺ったり
時事ネタやゲームネタを何かとシリアスになりがちな話を和ますように唐突にねじこんだり
サチカの一件で消えぬ恨みはあるけど仲よかったみんなを嫌いきれてないし何なら深く思っている感じがにじむ
ガチで恨み続けてたなら、目的を字幕だけで表示して攻略ビデオ淡々と放送すれば的確に心を傷つけられただろう
攻略ビデオの意味は子供時代の思い出の欠落の指摘(なぜこれを覚えていないのかという疑問を抱かせる)とトラウマ掘り起こし(不快感を持たせる)にあるのかな

一番重要だったのは色欲ビデオの後半でみんなを1回あざむくことだろうけど

伏線張られたわりにほっとかれたハルトはメガネ、黒髪だったから黒幕+クロスケ疑惑のスケープゴートとするためビデオを紛らわしい作りにしたとか

(両親に特に問題なかったから死因ムービー作るしかなかった説もちょっと浮かんだけど証拠がない)


やな思いさせる!と常に考えてはいただろうけどマスコット二人に漫才やらせて合間にフォロー入れてる時点で優しいし根は非情になりきれてない 
製作時は孤独で黙々と作業してたろうから完成品を見てもらうのちょっと楽しみにしてたのかな
テレビ100台くらいガン置きして島のどこにいても観れるようにしてるもんな
自分のいろんな感情や一生懸命計画したサバイバルストーリーを絶対にみてもらうという強い意志 

 

7章までは「ショウとミライは先生が仕込む前からあーいうマスコットキャラだったんじゃ?」と推測してたけど

最終章で二人がAI化したときハカセ
「マモルが作ったやつを元にした」とか言ってて椅子から滑り落ちた
二人は本当にただのマスコットキャラでしかなくてキャラ立ちさせたのは先生
ロボに組み込まれて襲いかかった時の嫌そうな態度や(ショウは悪ノリしたが)
やっつけられたあとの、みんなを気遣う優しい二人ができたのも
きっかけはどうあれ先生が感情を込めてEXTVを作ったがゆえの産物
そう思うとめちゃくちゃ好きになってしまうのを止められない

 

 

★余談・細かすぎて伝わらないEXTVで好きなとこ

ショウとミライがAI化したあとハカセの「なぜ犯罪や虐待や差別はなくならないのか(要約)」に正しく回答できなかったこと


一応インスタっぽく#つけた回答は出したものの問われた内容とまるで関係なかったのが個人的に刺さった
AIは情報を山ほど覚えさせて、そこから回答を引き出すもので
基本的性格やセリフはマモル先生が手がけたママイキなんだけど
人の心だとか罪だとか、そういうあいまいで人間的思考を必要とするものには全くちぐはぐになっちゃうの
あっ中の人いないわ ってなった

 

マモル先生一人で廃墟のインフラ整備とギミック作るあいだ、ハカセは全部見てたと言ったが

先生は廃墟の作業だろうとサチカの義手ずっとそばに置いといたのか?重くね?とか

エクステンドマシンによる蘇生は分からなくもないがシガバネはどういう仕組みなんだとか

しっぽアレルギーじゃなくて動物性油アレルギーなのではないかとか

素朴な疑問が尽きないくらい細部がゆるふわだったりするけど

状況をふまえたセリフがスラスラ出てくるとこすごいなあすごいなあと見返すたび驚く